スワップポイントの受取額・支払額は、「1万通貨あたりのスワップ×(取引数量÷1万)×付与日数」で見積もれます。付与日数は受渡日の繰り延べ日数で決まり、週末や祝日をまたぐ日には1日に複数日分がまとめて付くことがありますが、その曜日や日数は通貨ペアやFX会社によって異なります。まずは利用しているFX会社のスワップ一覧で「自分のポジションの向きの値」と「掲載単位」を確認し、付与日数は公式のスワップカレンダーで確かめてください。
この記事の計算例に出てくるスワップの金額は、説明のための架空の数値です。特定のFX会社の提示値ではありません。
スワップポイントの計算式と使う数値
スワップの見積もりに必要なのは、「1万通貨あたりのスワップ」「取引数量」「付与日数」の3つです。この3つを掛け合わせると、受取または支払いの概算が出ます。
基本の計算式
計算式は次のとおりです。
- スワップ額(円)=1万通貨あたりのスワップ(円)×(取引数量÷1万)×付与日数
たとえば取引数量が3万通貨なら「÷1万」で3倍、付与日数が3日分なら3倍になります。1万通貨あたりのスワップがマイナスの値であれば、計算結果もマイナス(支払い)になります。
スワップ一覧を見るときに確認すること
FX会社のスワップ一覧は、会社ごとに表示の仕方が異なります。計算に入れる前に、次の点を確認してください。
- 掲載単位が「1万通貨あたり」か、それ以外(1,000通貨あたりなど)か
- 「買い」と「売り」のどちらの値か(買いスワップと売りスワップを別々の列で掲載している会社もあります)
- 表示されている金額が1日分か、付与日数分をまとめた金額か
- その値がいつの日付の付与分か
単位が1,000通貨あたりの場合は「取引数量÷1,000」に置き換えるなど、式の割り算を掲載単位に合わせます。
付与日数とロールオーバーの考え方
付与日数は「ポジションを持ち越したことで、受渡日が何日分先へ延びたか」で決まります。暦の上で1日持ち越しても、1日分とは限らない点がポイントです。
ロールオーバーとは
ロールオーバーとは、保有しているポジションを翌営業日へ持ち越すことです。金融先物取引業協会の「スワップポイントについて」でも、スワップポイントは保有建玉を翌日以降に繰り越すとき(ロールオーバー時)に発生し、ロールオーバーを行う曜日によってスワップポイントが異なると説明されています。
つまり、日中に新規注文して同じ日の区切りの時刻までに決済した取引には、原則としてスワップは付きません。区切りの時刻もFX会社が定めているため、利用している会社のルールで確認します。
受渡日の繰り延べで付与日数が決まる
外国為替の取引は、取引日の2営業日後に受け渡しを行う慣行に基づいています。ポジションを持ち越すと、この受渡日が先へ繰り延べられ、その延びた日数分がスワップの付与日数になります。
考え方の例として、平日だけで受渡日が1営業日ずれる場合は1日分です。一方、持ち越しによって受渡日が週末をまたいで延びる場合は、土日を含めた3日分がまとめて付与されます。祝日で受渡日がさらに延びると、4日分以上になることもあります。
週末や祝日の3日分がいつ付くかは公式カレンダーで確認する
「3日分が付く曜日」は、通貨ペア・FX会社・各国の祝日によって変わるため、特定の曜日に決まっていると考えないでください。たとえばSBI FXトレードのよくある質問では、土日分は先渡しで前木曜日に3日分付与され、受け渡しが1営業日後の米ドル/カナダドルは前金曜日に3日分付与されると説明されています。これはこの会社の説明であり、他社や祝日を含む週では異なる場合があります。
外為どっとコムのスワップポイント付与ルールでも、付与日数は土日や各国の祝日による受渡日の繰り延べで決まるため通貨ペアごとに異なり、日別の付与額と日数はスワップポイントカレンダーで確認できると案内されています。見積もりの付与日数は、利用しているFX会社のスワップカレンダーで数えるのが確実です。
受取と支払いがポジションの向きで逆になる理由
スワップは2通貨の金利差を調整するものなので、買いと売りのどちらを持つかで、受け取る側と支払う側が入れ替わります。
買った通貨の金利を受け取り、売った通貨の金利を支払う
FX取引では、買った通貨の金利を受け取る一方、売った通貨の金利を支払う関係になります。金融先物取引業協会の解説では、円金利1%、米ドル金利5%の場合の例として、米ドル買い・円売りでは差の4%を受け取り、米ドル売り・円買いでは同じ4%を支払う形が示されています。
そのため、一般に高金利通貨を買って低金利通貨を売るポジションでは受取に、高金利通貨を売って低金利通貨を買うポジションでは支払い(マイナススワップ)になります。
「高金利通貨の買いなら必ず受取」とは限らない
スワップは政策金利の差がそのまま反映されるわけではなく、短期金融市場の金利や需給の影響も受けます。スワップ一覧に「必ずしも高金利通貨を買えば受け取れるわけではない」旨を注記しているFX会社もあります。見積もりでは、金利の高い・低いのイメージではなく、実際に掲載されている自分の向きの値を使ってください。
金利差とスワップの関係や、利上げ局面で何が起きるかの仕組みは、スワップポイントは日米金利差で変わる?利上げ局面の仕組みと注意点で詳しく整理しています。
⚠️ 買いと売りの金額が同じとは限りません
買いスワップと売りスワップを別々に掲載しているFX会社では、受取額と支払額の絶対値が同じとは限りません。売りポジションの見積もりに買いの値の符号を反転して使うのではなく、必ず売りの値を確認してください。
計算例で受取と支払いを見積もる
ここでは、式の使い方を確かめるための計算例を示します。スワップの金額はすべて架空の数値で、実在のFX会社の提示値ではありません。また、実際のスワップは日々変わるため、同じ値が続く前提は見積もり上の単純化です。
買いポジションで受け取る例
例として、1万通貨あたりの買いスワップが+100円(架空)の通貨ペアを3万通貨買い、付与日数の合計が30日分だった場合を考えます。
- 1日分:100円×(3万÷1万)=300円
- 30日分:300円×30=9,000円の受取
売りポジションで支払いになる例
同じ通貨ペアで、1万通貨あたりの売りスワップが−110円(架空)のときに3万通貨を売り、付与日数の合計が30日分だった場合です。
- 1日分:−110円×(3万÷1万)=−330円
- 30日分:−330円×30=9,900円の支払い
数量と日数で金額はどう変わるか
計算式は掛け算なので、取引数量や付与日数が2倍になれば、受取額も支払額も2倍になります。上の架空値で比べると次のとおりです。
| 条件(架空値) | 1日分 | 付与日数10日分 | 付与日数30日分 |
|---|---|---|---|
| 買い 1万通貨(+100円) | +100円 | +1,000円 | +3,000円 |
| 買い 3万通貨(+100円) | +300円 | +3,000円 | +9,000円 |
| 売り 3万通貨(−110円) | −330円 | −3,300円 | −9,900円 |
支払いの場合は、保有を続けるほど支払額が積み上がります。数量を増やすと受取だけでなく支払いも同じ比率で大きくなる点を、表で確認しておきましょう。
為替変動の損益と並べて確認する
スワップの見積もりだけでポジションの損益は判断できません。為替レートが逆に動いたときの損失と並べると、スワップの金額がどの程度の値動きで相殺されるかが分かります。
何pipsの逆行でスワップ分が消えるか
クロス円(円が決済通貨の通貨ペア)では1pips=0.01円なので、3万通貨の1pipsは0.01円×3万通貨=300円です。先ほどの買いの例で30日分の受取が9,000円だった場合、9,000円÷300円=30pipsの逆行で、30日分のスワップ受取と同じ額の為替差損が出る計算になります。
売りの例では、30日分で9,900円の支払いに加えて、為替が不利に動けば為替差損も重なります。スワップ収入がある場合でも、為替差損がそれを上回ることは十分に起こりえます。
計算機で為替損益とスワップを合わせて確認する
見積もりは次の順で進めると、スワップだけに注目した判断を避けやすくなります。
- スワップ一覧で自分の向き(買い・売り)の値と掲載単位を確認する
- スワップカレンダーで保有予定期間の付与日数を数える
- 計算式でスワップの受取額または支払額を出す
- 想定する逆行幅(pips)で為替差損を計算する
- スワップと為替損益を合計し、損失が許容範囲に収まるかを確認する
4の為替損益は、FX利益損失計算機で通貨ペア・数量・レート差から円で確認できます。3で出したスワップ額を足し引きすると、トータルの見積もりになります。
長期保有では証拠金の状況も確認する
保有期間が長くなるほど、為替変動の影響を受ける期間も長くなります。支払いスワップや含み損が膨らむと、証拠金に余裕がなくなりロスカットに近づくおそれがあります。必要証拠金と証拠金維持率の目安は、FXマージン(証拠金)計算機で数量やレートを入れて確認できます。
⚠️ スワップだけを見て保有を判断しないでください
スワップの受取は為替差損を補償するものではありません。為替が大きく逆行すると、積み上げたスワップ受取を上回る損失が短期間で発生することがあります。この記事の計算例は将来の受取額や損益を示すものではなく、特定の通貨ペアの売買や長期保有を勧めるものでもありません。
スワップが変わる・見積もりがずれる要因
スワップの見積もりは「今日の値が続いたら」という前提の概算です。実際の金額は、次の要因で見積もりからずれることがあります。
金利情勢や市場の影響で日々変わる
金融先物取引業協会の解説では、どちらかの通貨の金利が動けば金利差も変動するため、日々付与されるスワップポイントも変動するとされています。新興国通貨はインターバンク市場の需給や相場観の影響を受けやすい傾向があることにも触れられています。政策金利の変更局面では、受取だったスワップが縮小したり、支払いに転じたりする可能性もあります。
FX会社ごとに金額や付与のルールが異なる
同じ通貨ペアでも、スワップの金額はFX会社によって異なります。付与日数の数え方の基準になる時刻、3日分が付く曜日、スワップが口座残高へ反映されるタイミング(毎営業日に反映される会社もあれば、決済やスワップ振替の時点で受け渡す会社もあります)も会社のルールで決まります。見積もりに使う値とルールは、実際に取引している会社のものにそろえてください。
見積もり前のチェックリスト
- スワップの値は自分のポジションの向き(買い・売り)のものか
- 掲載単位(1万通貨あたりなど)に合わせて数量を割り算したか
- 付与日数は公式のスワップカレンダーで数えたか(週末・祝日を含む)
- 一覧の金額が1日分か、複数日分をまとめた金額かを確認したか
- スワップが日々変わる前提で、概算として扱っているか
- 想定する逆行幅での為替差損と並べて確認したか
よくある質問(FAQ)
スワップポイントは1日持つと必ず1日分付きますか?
必ず1日分とは限りません。付与日数は持ち越しによって受渡日が何日延びたかで決まるため、週末や祝日をまたぐ日には3日分以上がまとめて付くことがあります。具体的な日数は、利用しているFX会社のスワップカレンダーで確認してください。
スワップが3日分付くのは水曜日ですか、木曜日ですか?
曜日は一律ではなく、通貨ペア・FX会社・祝日によって異なります。例として、SBI FXトレードのよくある質問では前木曜日に3日分(米ドル/カナダドルは前金曜日)と説明されていますが、これは同社の説明です。自分の取引先の公式カレンダーで確認するのが確実です。
デイトレードでもスワップポイントは発生しますか?
その日の区切りの時刻(ロールオーバーの時刻)をまたいで保有しなければ、原則としてスワップは発生しません。区切りの時刻はFX会社が定めているため、利用している会社のルールで確認してください。
支払いのスワップは損失として扱われますか?
支払いのスワップは、その分だけ損益を悪化させる要因です。保有を続けるほど支払額が積み上がり、為替差損と重なると証拠金の余裕も減ります。口座残高へ反映されるタイミングや評価損益への含め方はFX会社のルールで確認してください。
まとめ
スワップポイントの受取額・支払額は、「1万通貨あたりのスワップ×(取引数量÷1万)×付与日数」で見積もれます。付与日数は受渡日の繰り延べで決まり、週末・祝日の扱いは通貨ペアやFX会社で異なるため、公式のスワップカレンダーで確認することが大切です。
- 計算式:自分の向きの値と掲載単位を確認し、数量と付与日数を掛ける
- 付与日数:3日分が付く曜日を決めつけず、公式カレンダーで数える
- 受取と支払い:ポジションの向きで逆になり、買いと売りの金額が同じとは限らない
- 為替損益との比較:何pipsの逆行でスワップ分が相殺されるかを並べて確認する
- 変動要因:スワップは金利情勢や市場の影響で日々変わるため、見積もりは概算として扱う
まずは保有中または検討中のポジションについて、スワップ額の見積もりと想定逆行幅での為替損益を計算し、両方を合わせた損失が許容範囲に収まるかを確認してみてください。








