国内FXの年間損益は、原則として1月1日~12月31日のあいだに決済して確定した損益で区切り、年末時点で決済していないポジションの含み損益はその年の所得に含まれません。国税庁は、FXの差益が生じたときの課税を「差金等決済」(反対売買などによる決済)を前提に説明しています。一方、スワップポイントは受け取り方によって所得として扱われる時期が異なりうるため、利用しているFX会社の説明と年間損益報告書で確認することが大切です。
この記事は、個人が国内FX(店頭FX・取引所FX)で取引している場合の一般的な情報です。個別の税務判断は、国税庁の情報、税務署、税理士で確認してください。
FXの年間損益は「1月1日~12月31日に確定した損益」で区切る
結論として、国内FXの損益は暦年(1月1日~12月31日)単位で集計し、その期間に決済などで確定した損益がその年分の所得の計算に入ります。
国税庁が示している基本の扱い
国税庁のタックスアンサー「No.1521 外国為替証拠金取引(FX)の課税関係」では、金融商品取引法上の市場デリバティブ取引・店頭デリバティブ取引に該当するFXについて、差金等決済をしたことで差益が生じた場合は「先物取引に係る雑所得等」として申告分離課税の対象になると説明されています(令和8年4月1日現在法令等)。
つまり、課税の出発点は「決済して損益が確定したかどうか」です。ポジションを持っているだけの段階では、その年の所得として数えるものではない、というのが基本の考え方です。
確定申告は年間の合計で考える
同じ年に決済した取引が複数ある場合は、利益の出た取引と損失の出た取引を合計した結果で年間損益を考えます。申告が必要になる金額の目安や住民税の扱いについては、FXの確定申告はいくらから?20万円ルールと住民税の基本で整理しています。
⚠️ 法人口座は扱いが異なります
この記事は個人の口座を前提にしています。FX会社の説明では、法人口座では未決済ポジションの評価損益なども課税所得の計算に含める扱いが案内されています。法人で取引している場合は、この記事の内容をそのまま当てはめず、税理士などに確認してください。
年末に決済した取引と、年をまたぐ未決済ポジションの扱い
年内に決済した取引はその年の損益に入り、年をまたいで持ち越したポジションは、決済した年の損益として扱うのが一般的です。
年内に決済した取引
12月中に決済して損益が確定した取引は、その年分の年間損益に含まれます。年初から年末まで、決済した取引の損益を合計した結果が、その年の損益の基本になります。
年をまたいで持ち越したポジション
年末時点で決済していないポジションの含み益・含み損は、その年の所得の計算には入りません。そのポジションを翌年に決済すると、新規注文から決済までの損益が、決済した年の損益として確定します。
以下は、仕組みを理解するための架空の数値による例です。
| 取引(架空の例) | 年末時点の状態 | 2026年分の損益に入るか |
|---|---|---|
| 取引A:2026年10月に新規、11月に決済して+12万円 | 決済済み | 入る(+12万円) |
| 取引B:2026年11月に新規、12月に決済して-3万円 | 決済済み | 入る(-3万円) |
| 取引C:2026年12月に新規、年末時点で含み益+5万円 | 未決済 | 入らない(決済した年の損益になる) |
この例では、2026年分として集計されるのは取引Aと取引Bの合計の+9万円です。取引Cは、2027年に決済した場合、その時点で確定した損益が2027年分の損益になります。年末時点の含み益5万円がそのまま2027年分になるわけではなく、決済したときのレートで確定した金額が対象になる点に注意してください。
年末の「区切り日」は各FX会社の説明で確認する
年末ぎりぎりの取引では、どの日付で年を区切るかがFX会社や取引の種類によって異なりうる点に注意が必要です。
- 約定日と受渡日のどちらを基準に年間損益を集計するか
- 取引時間外の決済や振替が、翌営業日の取引日として記録されることがあるか
- 年末年始の取引時間・休業日がどうなっているか
これらは一律に断定できないため、利用しているFX会社の税金に関する説明や取引ルール、年末年始の取引スケジュールで確認してください。
スワップポイントは受け取り方で所得になる時期が異なりうる
スワップポイントも為替差損益と同じくFXの所得に含まれますが、どの時点で確定したものとして扱われるかは、FX会社や取引コースの受け取り方式によって異なりうるのが実情です。
受け取り方式による違い
FX会社の説明をみると、個人口座のスワップポイントの扱いには、おおむね次のような違いがあります。自分の口座がどれに当たるかは、必ず利用しているFX会社の説明で確認してください。
| スワップポイントの受け取り方 | 所得として扱われる時期の考え方 | 確認先 |
|---|---|---|
| ポジションを決済したときにまとめて受け取る方式 | 未決済のあいだに付いている受取前のスワップは課税対象外とされ、決済した年の損益に入る | 利用中のFX会社の説明で確認 |
| 決済前に「スワップ振替」などで受け取れる方式 | 振替などで受け取った時点で確定し、その年の損益に入る | 利用中のFX会社の説明で確認 |
| 日々の受け払いが口座に反映される方式 | 受け払いのあったスワップが、原則としてその都度課税対象になる | 利用中のFX会社の説明で確認 |
同じように「ポジションを年越しさせた」場合でも、日々スワップの受け払いが反映される方式であれば、年内に受け払いのあった分はその年の損益に含まれることになります。反対に、決済時にまとめて受け取る方式では、年内に付いたスワップも決済した年の損益として扱われます。
マイナススワップ(支払い)にも注意する
売りと買いの組み合わせによっては、スワップポイントを支払う側になることもあります。支払ったスワップがいつ損益に反映されるかも受け取り方式と同じく各社の仕組みで決まるため、年間損益報告書のスワップ損益の欄で確認してください。
年間損益報告書で確認したいポイント
申告に使う金額は、FX会社が発行する年間損益報告書(名称は会社によって異なります)で確認するのが基本です。
報告書のどこを見るか
年間損益報告書には、一般に1年間の決済損益(為替差損益)、確定したスワップ損益、手数料などがまとめられています。年末の区切りに関係するポイントとして、次の項目を確認しておくと安心です。
- 対象期間(どの日付からどの日付までの取引が集計されているか)
- 決済損益(為替差損益)の合計
- スワップ損益の合計(確定したスワップだけが計上されているか)
- 手数料など、報告書上で差し引かれている項目
- 未決済ポジションの評価損益が合計に含まれていないこと
- 複数のFX会社を使っている場合は、各社の報告書がそろっているか
報告書の入手方法や、確定申告で必要になる書類の全体像は、FXの確定申告に必要な書類|年間損益報告書の見方と準備リストで詳しく整理しています。
報告書と自分の記録が合わないとき
自分で付けている取引記録と報告書の金額が合わない場合は、年末に決済した取引やスワップの振替が、どちらの年に計上されているかを最初に確認してください。区切り日の扱いが原因のことがあります。それでも分からない場合は、自己判断で数字を書き換えず、FX会社のサポートや税務署に確認するのが確実です。
年末前に確認しておきたい手順と注意点
年末が近づいたら、ポジションの状態と年間損益を整理しておくと、確定申告の準備がスムーズになります。ただし、税金を理由に売買の判断を変えることはおすすめしません。
年末前の確認手順
- 保有中のポジション(通貨ペア・数量・含み損益)を一覧で確認する
- その年に決済した取引の損益合計を、取引履歴で確認する
- スワップポイントの受け取り方式(決済時・振替・日々反映)を、FX会社の説明で確認する
- 年末年始の取引時間と、年間損益の区切り日(約定日・受渡日の扱い)を確認する
- 翌年初に発行される年間損益報告書で、確定した金額を確認する
損失の扱いと申告の時期
その年に決済した取引で損失が出た場合、同じ「先物取引に係る雑所得等」の中での損益通算や、確定申告を前提とした翌年以後3年内の繰越控除が国税庁の説明で示されています。具体的な流れはFXで損失が出た年の確定申告|損益通算と3年繰越控除の基本を参考にしてください。
確定申告の期間は、国税庁の「No.2020 確定申告」で、原則としてその年の翌年2月16日から3月15日までと案内されています(令和8年4月1日現在法令等)。年によって曜日の関係で日付が変わることがあるため、申告する年の案内もあわせて確認してください。
⚠️ 税金を理由にした年末の売買判断には注意が必要です
「年内に決済したほうが得」「年末に損失を確定させるべき」といった判断は、相場の値動き、取引コスト、翌年以降の損益、個人の所得状況によって結果が大きく変わります。この記事は損益の区切り方の一般的な情報であり、特定の売買や決済のタイミングをすすめるものではありません。取引はリスク管理を優先して判断し、税金の具体的な影響は税務署や税理士に確認してください。
よくある質問(FAQ)
12月31日時点の含み益には税金がかかりますか?
個人の場合、年末時点で決済していないポジションの含み益は、その年の所得には含まれないのが基本です。そのポジションを決済した年に、確定した損益として扱われます。ただし、法人口座は扱いが異なるため注意してください。
年をまたいで持ち越したポジションのスワップはどちらの年になりますか?
スワップポイントの受け取り方式によって異なりえます。決済時にまとめて受け取る方式なら決済した年、日々の受け払いが口座に反映される方式なら受け払いのあった年の損益になるのが一般的です。利用しているFX会社の説明で確認してください。
12月30日に決済した取引が翌年分になることはありますか?
取引時間外の決済や振替が翌営業日の取引日として記録されるなど、年末の区切り方はFX会社によって異なりうるため、断定はできません。年末年始の取引スケジュールと、年間損益報告書の対象期間を確認してください。
年間損益報告書の金額をそのまま申告に使えますか?
多くの場合は年間損益報告書の金額が申告の基礎になりますが、複数のFX会社を利用している場合は各社分を合算する必要があります。経費として扱えるものの有無なども含め、不明な点は税務署で確認してください。
まとめ
国内FXの年間損益は、1月1日~12月31日に決済して確定した損益で区切るのが基本で、年末時点の未決済ポジションの含み損益はその年の所得に入りません。スワップポイントは受け取り方式によって所得として扱われる時期が異なりうるため、FX会社の説明で確認が必要です。
- 年間の区切り:1月1日~12月31日に決済などで確定した損益が対象
- 未決済ポジション:含み損益はその年に入らず、決済した年の損益になる
- スワップポイント:決済時・振替時・日々反映など、受け取り方式で時期が異なりうる
- 年末の区切り日:約定日・受渡日の扱いや取引時間は各FX会社の説明で確認
- 確認資料:年間損益報告書で対象期間・決済損益・スワップ損益を確認
まずは保有中のポジションと、その年に決済した損益の合計を確認し、翌年初に届く年間損益報告書で金額を照らし合わせましょう。個別の判断が必要な場合は、国税庁の情報を確認したうえで税務署や税理士に相談してください。









