FXが平日ほぼ24時間取引できるのは、世界各地の市場が時差に沿って順に取引の中心になるためですが、時間帯によって参加者の数や売買の成立しやすさ(流動性)が変わり、スプレッドや約定のしやすさが変わりうるため、取引時間は利用する業者の公式案内で確認する必要があります。
この記事では、東京・ロンドン・ニューヨーク時間の考え方、夏時間・冬時間で日本時間がずれる仕組み、流動性が下がりやすい場面と取引コストへの影響を、教育目的で整理します。時間帯ごとの傾向は一般的な説明であり、毎日同じになるとは限りません。最初にやることは、自分が使う取引口座の取引時間・メンテナンス時間・スプレッドの条件を公式サイトで確認することです。
この記事の前提:特定の通貨ペアや売買の時間帯を勧める内容ではありません。時間帯による傾向は将来の値動きやコストを保証するものでもありません。また、ここでは通貨の取引を対象に説明しており、CFDなど他の商品の取引時間は別に定められている場合があるため、それぞれの公式案内で確認してください。
FXが平日ほぼ24時間取引できるのは、世界の市場が順に動くから
FXには株式のような単一の取引所がなく、世界中の金融機関や参加者が電話や電子機器を通じて売買をつなぎ合わせているため、地域ごとの昼間が順に回ってくることで平日ほぼ24時間の取引が成り立ちます。
特定の場所や建物がない市場
日本銀行は、外国為替市場を特定の場所や建物を指すものではなく、特定の枠組みの中で行われる取引全体を示す抽象的な概念で、多くの取引は電話や電子機器を通じて行われると説明しています(日本銀行「外国為替市場とは何ですか?」)。国際決済銀行(BIS)のワーキングペーパーも、通貨取引は店頭(OTC)で行われ、世界中で24時間にわたって行われると述べています(BIS Working Paper 1094「The foreign exchange market」)。
「ほぼ」24時間であって、365日止まらないわけではない
同じBISの資料は、取引の週のサイクルがアジア・太平洋地域の月曜早朝に始まり、米州の金曜午後に終わると説明しています。そのため、週末は市場全体が大きく動かない期間になります。一方で、口座で実際に取引できる開始時刻・終了時刻、毎日のメンテナンス時間、日替わりの時刻は業者ごとに異なるため、市場が動いている時間と自分の口座で注文できる時間は同じとは限りません。
東京・ロンドン・ニューヨーク時間は日本時間で何時ごろか
3つの呼び方は、それぞれの地域の日中に取引の中心がある時間帯を指す目安で、何時から何時までと一律に決まった区切りがあるわけではなく、解説ごとに少しずつ違います。さらに、夏時間・冬時間で日本時間への換算がずれます。
3つの呼び方が指すもの
日本銀行は、東京外国為替市場を日本時間の日中に、東京を中心とした参加者によって取引が行われる市場と説明しています(出典は前掲の日本銀行のページです)。ロンドン時間は欧州の日中、ニューヨーク時間は北米の日中を指す呼び方として使われます。時間帯の区切りは解説によって異なるため、この記事では次の項目で換算のしかたを示します。
夏時間・冬時間で日本との時差が1時間変わる
日本時間は夏時間を採用していませんが、米国と英国は夏時間を採用しており、切り替え日も異なります。米国標準技術研究所(NIST)は、米国の夏時間を3月の第2日曜午前2時に始まり、11月の第1日曜午前2時に終わるとし、2026年は3月8日午前2時から11月1日午前2時までと案内しています(NIST「Daylight Saving Time」)。英国政府は、2026年に時計が進むのは3月29日、戻るのは10月25日と案内しています(GOV.UK「When do the clocks change?」)。
この日付から日本との時差を整理すると、次のようになります(2026年10月時点の公式案内にもとづく換算で、来年以降の日付は公式案内で確認してください)。
| 2026年の期間 | ロンドン(英国) | ニューヨーク(米国東部) | 日本との時差(ロンドン/ニューヨーク) |
|---|---|---|---|
| 1月1日~3月7日 | 冬時間 | 冬時間 | 9時間/14時間 |
| 3月8日~3月28日 | 冬時間 | 夏時間 | 9時間/13時間 |
| 3月29日~10月24日 | 夏時間 | 夏時間 | 8時間/13時間 |
| 10月25日~10月31日 | 冬時間 | 夏時間 | 9時間/13時間 |
| 11月1日~12月31日 | 冬時間 | 冬時間 | 9時間/14時間 |
表のとおり、日本とロンドンの時差は8時間または9時間、日本とニューヨークの時差は13時間または14時間で、日本が進んでいます。切り替えの当日は、午前2時前後で時刻が変わるため、日付の境目の時刻は別途確認してください。米国と英国で切り替え日がずれる期間があることにも注意が必要です。日本時間での経済指標の発表時刻が夏時間・冬時間でどう変わるかは、経済指標カレンダーの時間の見方でも整理しています。
現地の9時~17時を「日中」としたときの換算例
次は、各地の現地時間9時~17時を日中とみなす架空の仮定での換算例です。実際の取引は日中の前後にも行われ、参加者の動き方も日によって異なるため、あくまで時差の感覚をつかむための目安として使ってください。
- 東京:日本時間の9時~17時(仮定どおり)
- ロンドン:冬時間(時差9時間)は日本時間の18時~翌2時、夏時間(時差8時間)は17時~翌1時
- ニューヨーク:冬時間(時差14時間)は日本時間の23時~翌7時、夏時間(時差13時間)は22時~翌6時
ニューヨークの17時が日本時間の翌朝7時(夏時間の期間は6時)になる点は、日本銀行の外国為替市況の解説でも確認できます(日本銀行「外国為替市況の解説」)。
時間帯でスプレッドや値動きが変わりうる理由は、参加者の数の違い
時間帯によって取引に参加している金融機関や投資家の数が変わり、売買が成立しやすい度合い(流動性)が変わるため、スプレッドや約定のしやすさが変わることがあります。ただし、変わりうるという傾向の説明であり、毎日同じ時間帯に同じ変化が起こるとは限りません。
流動性とは、取引のしやすさ
日本銀行は流動性を「交換のしやすさ」と説明しており、資産を大きな価値の損失なく速やかに処分できる度合いという意味も示しています(日本銀行「流動性」)。FXに当てはめると、買いたい人と売りたい人が十分にいて、注文を出したときに近い価格で成立しやすい状態が、流動性が高い状態です。
参加者が多い時間帯と少ない時間帯
BISのワーキングペーパーは、取引量はロンドンとニューヨークの日中が重なる時間帯にピークを迎えることが多く、ニューヨークの夕方からアジアの早朝にかけての「witching hour」と呼ばれる時間帯は比較的薄くなると述べています(出典は前掲のBISの資料です)。日本時間では、この薄い時間帯はおおむね早朝にあたります。
参加者が少ないと、価格を提示する側が提示価格の幅を広げることがあり、その結果、買値と売値の差であるスプレッドが広がる場合があります。スプレッドが取引コストになる仕組みや計算方法は、FXのスプレッドとはで詳しく説明しています。
スプレッドの出方は通貨ペアと業者でも違う
スプレッドの広さは、時間帯だけでなく、通貨ペア、その日のニュース、業者の価格提示の方針によっても変わります。スプレッドを「原則固定」などと案内している業者でも、適用される時間帯や例外が定められていることがあるため、数字だけを見て判断せず、公式サイトの条件文まで確認してください。この記事では、スプレッドや値動きの大きさを固定の数値では示しません。
流動性が下がりやすい場面と、取引コスト・リスクへの影響
流動性が下がりやすいのは、市場が薄い早朝の時間帯、週明けの取引開始直後、週末前、年末年始や祝日、経済指標の発表前後などで、そうした場面ではスプレッドの拡大や約定価格のずれが起こりうるため、取引前に条件を確認しておくと安心です。
場面別の整理
| 場面 | 起きうること | 取引前に確認すること |
|---|---|---|
| 市場が薄い早朝の時間帯 | 参加者が少なく、スプレッドが広がったり、約定価格がずれたりすることがある | 業者のスプレッド条件、注文方法ごとの約定の仕組み |
| 週明けの取引開始直後 | 週末中のニュースの影響で、金曜の終値と離れた価格から始まることがある | 業者の週の取引開始時刻、窓開けの扱い |
| 週末前の取引終了間際 | 週末にポジションを持ち越すと、次の取引開始時の価格が想定と離れるリスクがある | 業者の週の取引終了時刻、持ち越すポジションの許容損失 |
| 年末年始・祝日 | 市場参加者が減る場合がある。業者が取引時間やメンテナンスを特別に案内することもある | 業者の年末年始・祝日の取引時間の案内(年ごとに異なる) |
| 経済指標の発表前後 | 価格の提示が不安定になり、スプレッド拡大や約定のずれが起こることがある | 発表時刻(日本時間と夏時間・冬時間)、業者のスプレッド条件 |
表の内容は、場面ごとに起こりうることの一般的な整理で、必ず起こるという意味ではありません。特に週末を挟む価格の飛びは、FXの窓開けとはで、損切りがずれる仕組みと事前に確認する計算を解説しています。年末年始の具体的な取引時間は業者ごと・年ごとに異なるため、この記事では載せません。業者の公式案内を確認してください。
極端な例:流動性がほとんどなくなる「フラッシュイベント」
BISのワーキングペーパーは、近年のFX市場で、非常に急激で、短時間のうちに大部分が戻る値動きと、流動性が一時的にほぼなくなる現象(フラッシュイベント)が起きたことを紹介しています。例として、2016年10月7日のポンドと2019年1月3日の円の急変動が挙げられており、どちらも米国の夕方(アジアの早朝)という、取引量と流動性が最も低くなりやすい時間帯に起きたと説明されています。これは極端な例であり、通常の取引で頻繁に起こるものではありません。それでも、流動性が薄いときに価格が想定より大きく動く可能性があることを理解しておく材料になります。
注意:流動性が低い場面では、スプレッドの拡大や約定価格のずれにより、損失が想定より大きくなる可能性があります。逆指値注文を入れていても、指定した価格どおりに約定するとは限りません。レバレッジをかけた取引では、含み損の増加が証拠金維持率やロスカットに影響する場合があります。許容できる損失の範囲を超えるような取引量にしないことが大切です。注文価格と約定価格のずれ(スリッページ)の可能性を、取引前に織り込んでおいてください。
取引前に確認したい項目と、確認先
取引時間・メンテナンス時間・夏冬時間の扱い・スプレッドの条件は業者ごとに違うため、利用する業者の公式サイトと取引ツール内の案内で、取引前に確認してください。
公式サイトで確認したい項目
- 週の取引開始時刻と終了時刻(日本時間での表記と、夏時間・冬時間での違い)
- 毎日のメンテナンス時間や日替わりの時刻
- 夏時間・冬時間の切り替え日と、その前後の取引時間の扱い
- スプレッドの提示条件、適用される時間帯、例外が生じる場面
- 年末年始・祝日の取引時間やメンテナンスの案内
- 取引ツールのお知らせやメンテナンス告知の見つけ方
確認した内容を記録に残す
確認した取引時間やスプレッドの条件は、確認した日付とあわせて自分のメモに残しておくと、後から見直すときに役立ちます。取引時間や条件は変更されることがあるため、定期的に公式案内を見直し、古い情報のまま判断しないようにしてください。時間帯の知識は、売買のタイミングを決めるためではなく、取引コストとリスクを把握するための確認項目として使うのが、この記事の位置づけです。
よくある質問(FAQ)
FXはなぜ平日ほぼ24時間取引できますか?
FXには単一の取引所がなく、世界各地の金融機関などが取引をつなぎ、地域ごとの昼間が順に回ってくるためです。BISの資料でも、取引は世界中で24時間にわたり、週のサイクルは月曜早朝のアジア・太平洋で始まり金曜午後の米州で終わると説明されています。ただし、口座で実際に注文できる時間や、メンテナンス時間は業者ごとに異なります。
東京時間・ロンドン時間・ニューヨーク時間は日本時間で何時ですか?
一律に決まった区切りはなく、解説によって少しずつ異なります。目安として、各地の現地時間の日中を日本時間に直して考えます。日本とロンドンの時差は夏時間で8時間、冬時間で9時間、日本とニューヨークの時差は夏時間で13時間、冬時間で14時間です。切り替え日は米国と英国で異なるため、時差の表や公式の案内で確認してください。
スプレッドが広がりやすいのはいつですか?
一般に、参加者が少なく流動性が下がる場面で広がりやすいとされますが、毎日同じ時間帯に広がるとは限りません。BISの資料は、ニューヨークの夕方からアジアの早朝にかけて市場が比較的薄くなるとしています。そのほか、週明けの取引開始直後や経済指標の発表前後などでも広がることがあるため、業者のスプレッド条件を事前に確認してください。
自分が使っている業者の取引時間はどこで確認できますか?
業者の公式サイトにある取引時間・メンテナンス時間の案内、および取引ツール内のお知らせで確認できます。夏時間・冬時間の切り替え時期や、年末年始の取引時間は、変更されることがあるため、取引前に最新の案内を見るようにしてください。
「この時間帯は値動きが大きいから有利」と考えてよいですか?
そう考えるのは避けてください。時間帯による傾向は一般的な説明であり、毎日同じになるとは限らず、値動きが大きい時間帯は損失も大きくなりうる時間帯です。時間帯の知識は、スプレッドや約定のずれといったコストとリスクを確認するために使い、特定の時間帯の売買を勧めるものではありません。
まとめ
FXは世界の市場が時差に沿って順に動くため平日ほぼ24時間取引できますが、時間帯によって流動性が変わり、スプレッドや約定のしやすさが変わりうるので、取引前に自分の業者の公式案内を確認することが大切です。
- 仕組み:単一の取引所がなく、世界各地の参加者がつなぐ市場で、週のサイクルはアジア・太平洋の月曜早朝に始まり、米州の金曜午後に終わります。
- 夏時間・冬時間:日本との時差は、ロンドンで8時間または9時間、ニューヨークで13時間または14時間です。米国と英国で切り替え日が異なります。
- 流動性:ロンドンとニューヨークの日中が重なる時間帯に取引が多く、ニューヨークの夕方からアジアの早朝は比較的薄くなる傾向があります。毎日同じとは限りません。
- リスク:流動性が下がる場面では、スプレッド拡大や約定価格のずれにより、損失が想定より大きくなる可能性があります。
- 確認先:取引時間・メンテナンス時間・夏冬時間の扱い・スプレッドの条件は、業者の公式サイトで確認します。
次に、利用している業者の公式サイトで取引時間とスプレッドの条件を確認し、確認した日付とあわせてメモに残してください。









