ベイズの定理と偽陽性|検査で陽性でも本当に陽性の確率は?図で体験

「精度95%の検査で陽性」と聞くと、ほぼ確実に該当すると感じがちです。しかし該当する人がもともと少ない場合、陽性と出た人のうち本当に該当する人の割合(陽性的中率)は意外なほど低くなります。1万人の図とベイズの定理で、そのしくみを確かめます。

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陽性的中率とベイズの定理

検査の性能は、ふつう次の2つで表されます。

  • 感度:本当に該当する人が、正しく陽性になる割合
  • 特異度:本当は該当しない人が、正しく陰性になる割合

これに、調べる集団の中で該当する人の割合(有病率、事前確率)を組み合わせると、「陽性と出た人が本当に該当する確率」がベイズの定理で計算できます。

陽性的中率 = 有病率 × 感度 ÷ { 有病率 × 感度 +(1 − 有病率)×(1 − 特異度)}

分母の前半が「該当して陽性(真陽性)」、後半が「該当しないのに陽性(偽陽性)」の割合です。式で考えるより、人数に直すとわかりやすくなります。

1万人で数えてみる(有病率1%・感度90%・特異度95%)

1万人のうち該当する人は1%の100人、該当しない人は9,900人です。該当する100人のうち感度90%で90人が陽性、10人が陰性(偽陰性)になります。該当しない9,900人のうち5%の495人が陽性(偽陽性)、9,405人が陰性です。

陽性と出た人は90人+495人=585人で、そのうち本当に該当するのは90人だけです。陽性的中率は90÷585で約15.4%になります。反対に、陰性と出た人のうち本当に該当しない人の割合(陰性的中率)は約99.9%と高くなります。

有病率1万人中の該当者陽性的中率
0.1%10人1.8%
1%100人15.4%
5%500人48.6%
10%1,000人66.7%
50%5,000人94.7%

感度90%・特異度95%の同じ検査でも、有病率が0.1%なら陽性的中率は1.8%、50%なら94.7%です。検査の結果の意味は、検査の性能だけでは決まらず、「受けた人の中にもともと該当する人がどれくらいいるか」に大きく左右されます。

特異度が効く理由と、2回目の検査

有病率が低いときは、該当しない人が圧倒的に多いので、わずかな割合の誤り(偽陽性)でも人数が大きくなります。有病率1%のまま感度を99%に上げても陽性的中率は16.7%にしかなりませんが、特異度を99%に上げると47.6%まで上がります。

1回目で陽性だった人たちの中では、該当する人の割合はすでに15.4%に上がっています。この人たちが1回目と独立な検査をもう一度受けて陽性なら、15.4%を新しい事前確率として計算し直し、的中率は76.6%になります。前の情報で確率を更新していくのが、ベイズの定理の考え方です。

このページは確率の考え方を学ぶための教材で、医療上の判断や助言を行うものではありません。数値は説明用の例です。実際の検査の結果の受け止め方や、次に受ける検査については、必ず医師などの専門家に相談してください。

このページの前提(単純化していること)

  • 「検査」は一般的な判定の例として扱い、特定の検査や病気を想定していません。
  • 感度・特異度・有病率は一定とし、図の人数は1万人あたりの期待値を整数にまるめたものです。
  • 2回目の検査は、1回目と結果が独立だと仮定しています。実際には同じ原因で2回とも誤ることがあり、その場合の的中率はこの計算より低くなります。

よくある質問

陽性的中率が低いなら、その検査は役に立たないのですか?
そうとは限りません。陰性と出た人のほとんどは本当に該当しないので、「該当しない人を絞り込む」目的では役に立ちます。陽性の人には別の検査で確かめる、というように組み合わせて使われることがあります。
同じ考え方はほかの場面でも使えますか?
迷惑メールの判定や、少ないデータで「勝ちやすい方法だ」と判断する場面など、もともとの割合が小さいものを見分けるときには同じ注意が必要です。トレード回数と勝率のぶれやモンティ・ホール問題も、情報で確率が変わる例です。

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このページは、確率・期待値・ランダム性を理解するための学習用です。シミュレーションの結果は乱数によるもので、実行するたびに変わり、将来の結果を示すものではありません。

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