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ランダムウォークとは?コイン投げで作ったチャートでトレンドに見える理由
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コイン投げで表なら上、裏なら下に1歩ずつ動かすだけで、本物の相場のようなチャートができあがります。このページでは、でたらめな値動き(ランダムウォーク)が上昇・下落のトレンドに見える理由を、チャートを何本も作って確かめます。
シミュレーターを読み込んでいます…
ランダムウォークとは
ランダムウォーク(酔歩)は、毎回ランダムな方向に1歩ずつ進む動きのことです。このページでは、表なら+1、裏なら−1という最も単純な形を使っています。1歩ごとの上下は50%ずつで、前の動きとは関係がありません。それでも、何百歩もつなげると、長い上昇や急な下落、「もみ合いからの上放れ」のような形が自然に現れます。
シミュレーターでは、チャートに最小二乗法で直線を当てはめた「トレンド」の傾きや、それまでの安値からの最大の上げ幅も表示しています。どれもコイン投げの偶然だけで生まれた数字です。
どれくらい遠くまで動くのか
n 歩後の位置(終値とスタートの差)は平均0ですが、散らばり(標準偏差)は √n です。1,000歩なら √1,000 ≒ 31.6 なので、終値がスタートから30以上離れることは珍しくありません。正規分布で近似すると、終値がスタートから√n以上離れる確率は約32%です。
終値の標準偏差 = 1歩の大きさ × √歩数
つまり、「上にも下にも行かない」チャートより、「どちらかにはっきり動いた」チャートのほうがよく見かけます。後から見るとトレンドに見えても、それは偶然でふつうに起こる大きさの動きかもしれません。
逆正弦法則:「ずっと上」「ずっと下」が多い
チャートを1本作るごとに「スタートより上にいた時間の割合」を数えると、直感では50%前後が多そうに思えます。ところが実際は、0%に近い(ずっと下)か100%に近い(ずっと上)ものがいちばん多く、分布はU字型になります。これを逆正弦法則といいます。歩数が十分に多いときの割合は次のとおりです。
| 上にいた時間 | 確率 | 上にいた時間 | 確率 |
|---|---|---|---|
| 0~10% | 20.5% | 90~100% | 20.5% |
| 10~20% | 9.0% | 80~90% | 9.0% |
| 20~30% | 7.4% | 70~80% | 7.4% |
| 30~40% | 6.7% | 60~70% | 6.7% |
| 40~50% | 6.4% | 50~60% | 6.4% |
上にいた時間の割合が x 以下になる確率 ≒ (2/π)× arcsin(√x)
上にいた時間が10%未満か90%以上になる確率は合わせて約41%、40~60%に収まる確率は約13%しかありません。表と裏が完全に半々のコインでも、スタートを一度越えるとしばらく同じ側にとどまりやすいためです。シミュレーターのSTEP 3で1,000本作ると、棒グラフが理論の点線とほぼ重なるU字型になります。
チャートを見るときのヒント
長く上にいたチャートを見ると「強い上昇トレンドがある」と感じ、長く下にいたチャートを見ると「弱い」と感じがちです。しかし逆正弦法則のとおり、純粋な偶然でも片側に長くとどまることはよく起こります。また、「ずっと上がったからそろそろ下がる」と考えるのはギャンブラーの誤謬と同じ構造です。ランダムウォークでは、それまでの動きに関係なく、次の1歩は50%ずつです。
実際の相場がランダムウォークそのものだと言っているわけではありません。「この形は偶然でもこれくらい起こる」という物差しを持っておくと、チャートの形から意味を読み取りすぎることを防ぎやすくなります。値動きの大きさ(ボラティリティ)が結果にどう影響するかはレバレッジの減価のページでも確かめられます。
このページの前提(単純化していること)
- 1歩の大きさは常に1で、上下は50%ずつ、毎回独立です。実際の値動きのように、動きの大きさが変わったり、急に大きく飛んだりすることは考えていません。
- 「上にいた時間」は、1歩ごとの区間がスタートより上にあったかどうかで数えています。表の確率は歩数が十分に多いときの近似値で、1,000歩ではほぼこの値になります。
よくある質問
- ランダムウォークでも、上がり続けるチャートができるのはなぜですか?
- 1歩ごとの上下は半々でも、表がやや多い時期が長く続くと、その分だけ位置は上に積み上がります。終値の散らばりは歩数の平方根で大きくなるので、長いチャートほど大きなトレンドに見える動きが生まれます。
- なぜ「上にいた時間が50%前後」は少ないのですか?
- スタートの線をまたぐ回数が、思ったより少ないからです。一度スタートから離れると、戻ってくるまでに長い時間がかかることが多く、その間ずっと同じ側にいることになります。その結果、割合は両端に偏ります。
関連する実験・ツール
このページは、確率・期待値・ランダム性を理解するための学習用です。シミュレーションの結果は乱数によるもので、実行するたびに変わり、将来の結果を示すものではありません。特定の取引方法・金融商品をすすめるものではありません。
