レバレッジの減価とは?上下動で資産が目減りする仕組みをシミュレーション

10%上がって10%下がると、価格は元に戻らず少しだけ減ります。このページでは、上下動によって資産が目減りする「減価(ボラティリティ・ドラッグ)」を、毎日の値動きとレバレッジの倍率を変えて確かめ、同じ値動きでも倍率が高いほど長期の結果がどう変わるかを比べます。

シミュレーターを読み込んでいます…

上がって下がると元に戻らない理由

100が+10%で110になり、次に−10%すると、110の10%(11)だけ下がって99になります。上がった後の大きな値から下がるので、同じ%の上下では元に戻りません。

(1 + r)×(1 − r)= 1 − r²

r = 10%なら1往復で0.99倍です。1回では1%の差でも、くり返すと効いてきます。+10%と−10%を10往復すると約90.4%、50往復すると約60.5%まで減ります。

レバレッジをかけると減価は倍率の2乗で大きくなる

毎日、元の値動きの L 倍になるように保つ(毎日リバランスする)と、1往復の倍率は(1 + Lr)×(1 − Lr)= 1 − L²r² になります。目減りの大きさは倍率の2乗に比例します。元の値動きが±10%のとき、3倍では1往復で 1.3 × 0.7 = 0.91倍、50往復で約0.9%まで減ってしまいます。元の値動きは行って戻るだけなのに、3倍で受けると価値はほとんど残りません。

ランダムな値動きでも同じことが起こります。年率の期待リターンを μ、変動の大きさ(年率の標準偏差)を σ とすると、L 倍の価値の「ふつうの伸び」(中央値の伸び)は、年率でおよそ次のようになります。

g ≒ L × μ − L² × σ² ÷ 2

μ = 5%、σ = 20% の場合を計算すると次のとおりです。

倍率期待リターン(Lμ)減価(L²σ²/2)中央値の伸び g(年率)
1倍5.0%2.0%3.0%
2倍10.0%8.0%2.0%
3倍15.0%18.0%−3.0%

10年後の中央値は、1倍で約1.35倍、2倍で約1.22倍、3倍で約0.74倍になります。期待リターンは倍率に比例して増えますが、減価は倍率の2乗で増えるため、この条件では3倍の中央値が元本を下回ります。シミュレーターのSTEP 3で、200通りの中央値が近似式の点線に沿って動く様子を確かめられます。

平均は伸びても、ふつうの結果は伸びない

同じ条件で10年後の平均(期待値)を計算すると、1倍で約1.65倍、2倍で約2.72倍、3倍で約4.48倍と、倍率が高いほど大きくなります。それでも中央値が低いのは、ごく一部の経路が非常に大きく伸びて平均を引き上げ、大多数の経路は目減りしているからです。倍率を上げると、結果は「まれに大きく増え、多くは減る」形に偏っていきます。

レバレッジの倍率を上げると、上下動(ボラティリティ)の影響が倍率の2乗で効いてきます。「元の値動きの3倍の成績になる」のは1日単位の話で、長い期間では3倍にはなりません。

このページの前提(単純化していること)

  • 1年を252日とし、毎日の値動き(変化率)を正規分布で独立に作っています。実際の値動きには急落や、変動の大きさの変化があります。
  • 毎日、元の値動きのちょうど L 倍になるように保つモデルです。借入の金利、手数料、税金は考えていません。1日で価値が0以下になる場合は0として扱います。
  • 近似式 g ≒ Lμ − L²σ²/2 は、1日の値動きが小さいときの近似です。変動が非常に大きいときや倍率が高いときは、シミュレーションの中央値と少しずれます。
  • 特定の金融商品の成績を示すものではありません。

よくある質問

レバレッジが1倍でも減価は起こりますか?
起こります。上の式の L = 1 の場合で、σ²/2 だけ中央値の伸びが期待リターンより低くなります。σ = 20% なら年率2.0%分です。倍率を上げると、この差が倍率の2乗で大きくなります。
上昇が続く相場なら、3倍のほうが有利ではありませんか?
上下動が小さく一方向に動き続ける期間なら、3倍の伸びは大きくなります。減価が効くのは、上下動が大きい期間です。どちらになるかは事前には分からないので、このページでは「上下動の大きさと倍率によって、ふつうの結果がどう変わるか」を確かめています。値動きのランダム性はランダムウォークのページで、積立と一括の比較はドルコスト平均法のページで確かめられます。

関連する実験・ツール

このページは、確率・期待値・ランダム性を理解するための学習用です。シミュレーションの結果は乱数によるもので、実行するたびに変わり、将来の結果を示すものではありません。特定の取引方法・金融商品をすすめるものではありません。

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